私の初めてのアルバイトはコンビニでのアルバイトでした。
コンビニを選んだ理由としては、家の近くにあった事、24時間営業しているので時間の融通がききやすいという事です。
コンビニで働いて良かった事は、お客様の身近に居れる事です。
コンビニの店員は、割と身近に感じられると思います。それが理由で無下に扱われたりもしますが、それ以上に親しく話しかけてくださる人も沢山おり、「おはよう。」や「今日も頑張ってるね。」などの一言だけで楽しくなってきます。中には「こうやって話するのが毎日の楽しみ」と言ってくださる方もいます。
私が忘れられないお客様の中に、こんな方がいました。
年齢は70代後半の男性で、1日に3回ほど来店されるお客様。散歩がてらこの店に来店されているそうで、店員のほとんどがそのおじいさんの事を知っていました。
来店しては「今日も頑張ってるね」など声をかけてくださり、他にお客様がいない時にはレジでお話をしたりしていました。時には、「どのジュースがおすすめ?」と聞いてこられ、ニコニコしながら「ばぁちゃんに買ってやるんだ」と、よく話をされていました。
「うちのばぁちゃん怖いのよ」と言いながらもその顔はニコニコされていて、奥さんの好物や飲み物を買っていき、たまに奥さんとの思い出話をされる事もありました。「奥さんの事が大好きなんだなぁ」と、すごく感じていました。
ある日、おじいさんがレジで溜息をついた事がありました。尋ねると、「肝硬変になってしまった」と。それからしばらくは来店される回数も減り、浮かない顔をされていたのですが、
しばらくするといつものおじいさんに戻っていたのですが…。こんな事を、言われた事がありました。「わしが死んだら線香でも上げにきてくれな」その顔はいつものニコニコ顔でした。
でもどこか寂しそうで。「そんな事言ったら寂しいじゃないですか」と言うとガハハと笑ってくれました。
そして、おじいさんが全く来なくなりました。店長や他の店員も、最近見ないねって話していましたが、どうやら亡くなったらしいとの事でした。噂程度の情報ですし、信じたくありませんでした。
以前一度、来店されない時期もあったしまた来られるようになるだろうな、と。でも、それから来店される事はなかったのです。
おじいさんは、この店に来るのが楽しみだと言っていました。それから私は、こういう風に思っている常連さんは他にもいるだろうと思い、出来るだけ、レジで声をかけてこられたお客様とお話をする様にしています。
地域に密着できるコンビニだからこそできる、コンビニならではの接客は、こういう所だとおじいさんに教えてもらいました。
コメント